理学部物理学科紹介

最終更新日:2004年7月5日
文責:藤森俊樹 (名大理物理OB)

ここでは大まかに理学部と物理学科の様子を紹介していきます。 もちろん管理人の私見ですし、全国の理学部を見てきたわけでもないので自分達を取り巻く環境について書く事しかできませんが、どうかご容赦を。 名古屋大学理学部を志望する受験生の方には参考になるかと思います。

理学部とはどんなところか?

まずは理学部の様子について解説しましょう。 何をやっている学部かというと、「自然界の原理を追求している」のです。 構成されている学科は数理学科・物理学科・化学科・生命理学科・地球惑星学科の5つです。 この並び順には何の必然性も無いのですが、何故かこの順番で統一されています。 ちなみに数理学科の人に「数学科」というと怒られる場合もあります。ご注意を。 地球惑星学科は略称が「地球」と書いて「ちたま」です。 なかなかセンスの良いネーミングです。

学部には学部生、大学院生、助手、助教授、教授と、様々な人がいます。 当然研究室もあり、授業を行う講義室もあります。 学部生が講義を聴いている最中にも、隣の部屋では世界的な大発見があるかもしれないのです。 しかし、当然の事ですが学部生の頃はそんな最先端の研究には携わる事はできません。 普通の学生でいる限りは、まずはきっちりと基礎を学ぶことになります。 専門的な事は大学院に入って空になりますから、もし理学部で華を咲かせたいと思うのならば大学院への進学も考えておいた方が良いでしょう。 これはどの学部でも共通なのかもしれませんが。

物理学科とはどういうところか?

次に、物理学科について説明します。 物理学科はいわゆる「物理学」について徹底的に追及する学科です。 力学・電磁気学・統計力学・そして量子力学など、様々な分野について学びます。 大学院の研究分野で言うならば、素粒子宇宙物理学と物質理学の2種類に大別できるようです。

素粒子宇宙物理学は素粒子といわれる微小な大きさを持った粒子と、非常に大きな宇宙の両方を研究しています。 全く正反対のようですが、実は重要な関連性があるのです。 例えば宇宙の始まりを想像してください。 何も無いところで大爆発が起き、そこから宇宙が始まったとしましょう。 そうならば宇宙の大きさには微小な、素粒子程度の大きさしかなかった時期が存在したと言う事になります。 その、宇宙が始まった瞬間の出来事は素粒子を知らなければ理解できないのです。

一方物質理学は、というと、こちらは原子、分子、あるいは結晶などの物質の持つ性質を研究しています。「超伝導」や「レーザー」などの、社会的にもどんどんと実用化されている技術は、全てここから生み出されたのです。

物理学は学べば学ぶほど、日常の「何故」を説明できるようになる素晴らしい学問です。しかし、実は高校の頃の物理よりもかなり理論的な学問になります。 暗記力よりも、数学的な能力や物理的な背景を想像する力が要求されます。 常に何か疑問を持っている人ほど向いているのではないでしょうか。 余談ですが、高校の数学で微分積分やベクトルなどが得意だった人は、物理学科が向いているように思えます。

名古屋大学理学部物理学科について

名古屋大学理学部では、2年生への進級時に学科を決定します。 それまでの期間は全ての分野についての基礎を学ぶ事ができます。 一年間様々な分野を学び、物理学科を選んだのならば栄光の物理人生の始まりです。 2年生は講義と演習を中心に授業が行われます。 3年生は講義に選択性が増し、その代わりに本格的な実験を行います。 実験は一つのテーマを1ヶ月半程度の期間かけて検証し、その手順などは学生間の議論で決定していきます。 はっきり言って楽しいです。 4年生になると研究室に配属されますが、ここで理論系か実験系の選択をします。 理論系ならば研究室でセミナーを行い、実験系ならば当然実験を行います。 その成果を卒業論文としてまとめれば、はれて学士の資格が与えられるのです。

授業などはそれなりに忙しいですが、サークル等に参加する余裕はちゃんとあります。 朝から晩までサークル室に入り浸ったりはできませんが。 多少の度胸は必要ですが、一年生の頃から研究室の様子を知る事もできます。 物々しい雰囲気の研究室でも、訪ねていけば必ず研究についての話を聞かせてもらえます。 教授の方々としては、やる気のある学生はどんどん実力を付ける事ができるように環境を整える用意があるようですね。

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